発注前の整理

システム開発を依頼する前に、発注者が理解しておくべきこと

システム開発は、専門の会社に依頼すれば自動的にうまくいくものではありません。依頼する側が何を決め、どこまで責任を持つかによって、成果は大きく変わります。

2026.07.07執筆 株式会社Live Rider読了目安 7分システム導入・業務改善・要件定義

システム開発というと、「専門の会社に依頼すれば、あとはうまく作ってくれるもの」と考えられがちです。しかし実際には、開発会社だけで成否が決まるわけではありません。

特に現場主導のシステム導入では、「何を作るか」より前に、「なぜ作るのか」「どの業務を変えるのか」「完成をどう判断するのか」が曖昧なまま進んでしまうことがあります。

システム開発は「丸投げ」できない

システム開発でよくある失敗の一つが、発注者側が判断すべきことまで開発会社に任せてしまうことです。開発会社は技術的な実現方法や設計、実装の専門家です。しかし、業務の目的、優先順位、現場の制約、顧客への影響、社内ルールは、依頼する側にしかわかりません。

ここが曖昧なまま「いい感じに作ってください」と依頼しても、期待どおりのものにはなりにくいです。

  • 何を最優先で解決したいのか
  • どの業務を変えてよいのか
  • どの機能は必須で、どの機能は後回しでよいのか
  • 誰が使い、どの場面で使うのか
  • 完成したかどうかを何で判断するのか

要件定義より前に、目的を決める

システム開発では「要件定義」が重要だと言われます。ただし、要件定義の前にもっと重要なのは、目的の整理です。

「予約管理システムがほしい」「顧客管理を効率化したい」「Excel管理をやめたい」。これらは出発点としてはよいですが、まだ目的としては少し粗い状態です。

  • なぜ今の管理方法では困っているのか
  • その問題はシステムで解決すべきものなのか
  • 業務フロー自体を変えれば解決しないか
  • どの指標が改善すれば成功と言えるのか
  • 誰の負担を減らしたいのか

今の業務をそのままシステム化しない

発注者側が特に注意すべきなのは、現在の業務をそのままシステムに置き換えようとすることです。

紙、Excel、メール、電話、チャット、口頭確認などで回っている業務には、長年の都合や例外処理が積み重なっています。それを何も見直さずにシステム化すると、複雑で使いにくい仕組みになります。

  • この承認は本当に必要か
  • 同じ情報を何度も入力していないか
  • 例外対応が多すぎないか
  • 担当者しか知らない判断がないか
  • そもそも不要になっている作業はないか

発注者が決めるべき重要なこと

システム開発を依頼する側が最低限決めておくべきことは、機能一覧だけではありません。

たとえば「顧客情報を管理する」と言っても、誰が登録し、誰が編集でき、誰が閲覧できるのかを決める必要があります。退職者のアカウントはどうするのか、履歴は残すのか、間違って削除した場合に復元できるのかも重要です。

  • 目的と成功条件
  • 対象となる業務範囲
  • 利用者と利用場面
  • 優先順位
  • 予算と期限
  • データの扱い
  • 権限やセキュリティ
  • 運用・保守の体制
  • 受入テストの基準

まとめ

  • システム開発は丸投げできない
  • 目的が曖昧なまま作り始めない
  • 今の業務をそのままシステム化しない
  • 優先順位と受入基準を発注者が決める
  • 作った後の運用まで考えておく